好評いただいている、体験プログラムを開発した日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾事務局長と、「OFF T!ME」の名付け親である澤田智洋さん(コピーライター/CMプランナー)の対談。
【OFF TIME対談(上) OFF TIMEって、どんな感覚?】、【OFF対談(中)〜プログラムの裏話】に続き、いよいよ今回で最後の3回目になりました!
ぜひ、お楽しみください。
【OFF対談(下)〜OFF TIMEはさらに進化する】
松崎:澤田さんはOFF T!MEを世の中の人達にどのように伝えたいですか?
澤田:現代は、人と人の間には壁がある感じです。都会の人はパーソナルエリアと言われるバリアが広くて、東京の人は世界で一番広いんです。人と人との間に壁がないとやっていけないけど、それは人として不自然な形だから、電車でも緊張しているんだと思うんです。OFF T!MEに参加することで、その壁を壊すことができます。そのためには自主的に参加するしかありません。そして、継続的に参加すると変わるはずです。
-澤田さんは体験した感覚をキャッチコピーで表すときに何を意識しましたか?
澤田:キャッチコピーは「目をOFFにすると、発見がある」。発見という言葉は少し固くなってしまうので悩んだんですけど。OFFというキーワードを使ったのは、目をOFFにするというのがエンタメっぽい、と思ったから。ゲーム機はONにするけれども、障がい者スポーツはOFFにするというのが新しいエンターテインメント。温泉を楽しむ、緑化、アフターファイブなどOFFという言葉は、ここ100年ずっといいイメージが続いています。みんなが知っている単語で、ワークの内容を簡単に表すのは何がいいか、体験しながら悩みました。いくつか候補があった中で、OFF T!MEに落ち着いたのは、「目を2時間だけOFFにする時間」という定義付けをしたかったんです。現代人は時間に追われ、時間の使い方がうまいようで下手。立ち止まって、大切な時間を使いましょう、ということでOFF T!MEにしました。
-OFF T!MEは、障がい者と接する時間でもありますよね。
澤田:障がい者と接することでも、自分が変わってきます。OFF T!MEの中では、(ブラインドサッカー選手でファシリテーターの)ハジくんの方が経験があります。目をOFFにしている。それで得ているものは大きいです。だから、僕は「OFFスパート」と呼んでいるんです。OFFという言葉が広がっていけばいい。障がい者の人達って強みがあって、健常者の僕らもそれを知っているから仲良くなれて、障がい者を助けようという意識が芽生えるんです。健常者と障がい者の立場が逆転するような現象を長期的に作っていきたい。言葉って人を変えてくれるインフラ、というのを意識しています。
●いろいろなOFF T!MEがあっていい
-他の場面にも広がる可能性がありそうですね。
澤田:離婚しそうな夫婦にOFF T!MEを紹介するとか、いいんじゃないかと思います。そうすればコミュニケーションを見直して、離婚件数が減るんじゃないですか。目を閉じるだけで気づける事がすごいんですよ。あと、僕は最近、OFFにすることにはまっていて、たとえば、お風呂に入る時は目をOFFにする。だから「オフロ」と呼んでいます。自分の感覚に注意深くなるから、体をよく洗えますし。慣れるまで時間は掛かったけど、今はすごくリラックスできますね。目を閉じると、家族の事だったり、仕事の事だったり、すごく考えることができます。
松崎:僕はいろいろなOFFの時間があって、それぞれにいろいろな気づきがあると思っています。今はブラインドサッカーから広げているところです。将来は、他の障がいや他のOFFともコラボレートしていくべきだと思っていて、それは一人一人の処方箋になるでしょう。それから、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのスポーツを理解することにも使っていきたいし、ボランティア研修の機会にもなっていけばいいと思いますね。
澤田:日本ブラインドサッカー協会の活動には、いろいろな目的がありますよね。日本代表を世界一にしたいだけではないんです。混ざり合う健常者と障がい者が、そこに落ち着けばいいですね。OFF T!MEなら、すぐに団結できるんじゃないですか。
松崎:2014年11月に東京・渋谷で世界選手権があります。そこが注目されると同時に、できるだけ多くの人にOFFにすることの重要性を感じてもらいたいです。
澤田:いろんな人生のいろいろな導線に食い込めるプログラムですよね。OFF T!MEは本当にいろんなところに効くお薬です。しかも、他では処方されないお薬だと思います。
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*OFF T!ME(オフタイム)
平日も、休日も、昼も、夜も、開催中。